ナイキと、アディダス。
世界のスポーツ用品業界のツートップです。
2社の業績は下記のとおり。
■ナイキ(2013年)
売上:278億ドル
営業利益率:13%
■アディダス(2013年)
売上:145億ドル
営業利益率:8.7%
売上も利益率でも、ナイキが秀でていますね。
この2社は何が違うのでしょうか?
上記2つの会社の本社で勤めた経験があるというHさんから、
面白い話を聞きました。
Hさん曰く、ナイキはミッション共有の徹底ぶりがスゴいと。
ナイキのミッションとは、
「アスリートのパフォーマンスを上げること」
たとえば、Hさんが新商品のシューズ案を考え、
上司に提案した時のこと。
Hさんは上司からこう指摘されたそうです。
「私たちの仕事は靴をつくることか?そうじゃないだろう?
アスリートのパフォーマンスを高める。
そのためなら、アプリでも健康食品でもいいんだ。
もっと既成概念にとらわれずに考えなさい。」
『年中、そうした本質的な問答の繰り返しでキツかったが、
とても鍛えられましたし、やりがいも大きかった』とHさん。
『ナイキはぶれない軸があるから、
サングラスや腕時計、アプリなど商品のラインナップが広がっても、
一貫性があるし、ブランド力も相乗効果も発揮する。
一方アディダスは、ナイキと比べるとそうした軸が
弱かったかなと思います。』
ブランド力の差は、収益性に現れており、利益率の差以上に、
社員の給与額や待遇にも相当な差があったそうです。
「価値観共有の度合い」だけが業績を左右する訳ではないと思いますが、
注目すべき要素ですよね。
なぜ企業の存在目的の明確化と共有が、
強さの源泉となるのでしょうか?
それは「何のために?」という自問自答と
社員間コミュニケーションの積み重ねが、
一人ひとりの思考を磨くトレーニングとなるからです。
本質的思考で、テーマを「深堀り」していく。
すると、新しい分野の展開だけでなく、
既存商品のイノベーションにもつながります。
つまり、商品展開によって売上の「面積(二次元)」を
広げていくばかりでなく、
深堀りによって「立方体(三次元)」の売上を
得ることが可能になるのです。
『理念の共有へのこだわりは、宗教のようだった』
ということですが、ライバルにとっては、社員が増えても
ベクトルをビシッと合わせられている組織ほど怖いものはありませんね!
《まとめ》
売上を追求するのではなく、理念を追求する
先に、高い付加価値=利益が待っている。