COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2015/03/27

【vol.345】いい人材を見逃さないために、面接官として私が心がけていること

先日、あるお取引先の新卒採用の面接を見学
でお邪魔した時のことです。
この企業は、全国に数十店舗レディースアパレルの店舗を展開されています。

集団面接でしたが、うち一人の女子大生Aさんは、
最初からかなり緊張していて、発言も自信なさげな感じでした。

プレッシャーに弱いタイプなのかなあと思いつつ、
面接が終わった後、Aさんの書いたアンケートを見ると、
会社との出会いは「大学の講義で知ったのがきっかけ」
とあります。

ちょっと気になって声をかけてみました。
「大学の講義で知ったというのは、どういうことですか?」

すると、
「受講している学生が、それぞれ企業を選んで、
調査して、発表するという内容の授業だったんです。
その時に、私が選んだのが御社だったんです…。」
という答えが。

なるほど、先生が講義で取り上げたのではなく、
Aさんが自ら選んだという訳ですね。

「でも、学生にはなじみのないブランドだと思うけど、
なぜ知っていたの?」
と重ねて聞いてみました。

「実は、中学生の頃は鹿児島に住んでいたんです。
ある日、商業施設に入っていた御社のお店に、母と行ったことがあるんです。

そのとき母が
『将来、こういう服が似合う大人になりなさい』
と、私に赤いカーディガンを買ってくれて。

大学進学で福岡に来てからも、時々そのブランドの店に行ってます。
だから御社のことは昔から知っていたんです。」

当時買ってもらったカーディガンは、今でも
大事に持っているんです、と、目を潤ませながら語ってくれたAさん。

このやりとりを通じて、面接の際にはわからなかった、
Aさんの会社への並々ならぬ想いがヒシヒシと伝わってきました。

面接後にたまたま声をかけなかったら、
「接客には向いていないかも…」という評価で終わっていたかもしれません。

本人にも、もう少しアピールの工夫の余地はあったでしょうが、
例えば本当に好きな人の前だと、言葉に詰まっちゃう、
ということ、ありますよね(笑)

明らかに優れている人、逆に必要な能力が明らかに劣る人は
誰が見ても評価できる。
問題はそれ以外の応募者です。

その人の持つ素養に加えて、秘めた想いやストーリーを、どうやって引き出すか。
これは面接官の意識と働きかけ次第です。

よく、『これを聞けば見極められる!という質問はありませんか?』
と聞かれますが、「一問必殺の質問」は、ありません。

私が心がけているのは、一問一答ではなく、
ひとつの質問を「深掘り」していくことです。

応募者の発言に、更に質問を重ねていくことで、
相手の本質や本音に迫っていくことが可能だと
考えています。

《まとめ》
先入観や言葉じりで決めつけず、背景やストーリー
を知るように心がけると、面接の精度が高まる。

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