COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2015/12/17

【vol.382】鮨 木島 “博多前” ブランディング秘話

今年10月に福岡に開店した、「鮨 木島」というお店。

私の知人が多く関わっていたのですが、店づくりのプロセスがとてもユニークだったので、ここで紹介したいと思います。

通常、店づくりは設計は設計士、内装は施工業者、ロゴはデザイナーと、etc.
各々オーナーが打合せをして決めていくのが一般的です。

この場合、オーナーにセンスとコミュニケーション力があれば、プロデューサーとしてトータルコーディネートが可能となります。

しかしオーナーは料理のスペシャリストですから、そうしたケースは稀です。
個々の進捗や最終イメージがすり合わせできないまま、結果的に一貫性に欠けた店舗ができてしまうことも多いのです。

「鮨 木島」においては、初期の段階から “ブランディング” をテーマに、プロジェクトチームを組織し、全てにおいて一体化した店づくりを意識的に取り入れる手法がとられました。

音頭をとったのは建築設計事務所CASEの代表・一ノ瀬勇氏。

まず、店主の木島英太朗氏と打合せを重ねて、

・福岡を代表する名店で19年修行した店主の、最高の腕前
・鮨の王道を、そして本質を追求する姿勢
・同時に、新しい価値を創り出そうとする開拓精神
・男気に溢れ、かつ優しい人柄

といった特徴を整理。

その上で、世界観を表現できるパートナーを一ノ瀬氏が選抜し、「チーム鮨木島」を結成。
プロジェクトを進めていったのです。
ちなみに一ノ瀬さんと木島さんは同郷の先輩後輩とのこと。
『いつの時代も義理と人情が男を貫くぶっとい魂』という “九州男児魂” ど真ん中の一ノ瀬さん。

“ブランディング” という言葉でくくれない、熱く、野太いやりとり積み重ねられたに違いなく・・・!
(わが「breath sewing studio」も椅子カバーの制作でチームに関わらせてもらったのですが、オープニングレセプションで語られた各々の想い入れとこだわりは素晴らしかったです。)

こうして出来たお店は・・・
・伝統技法を継承する名職人が集う「4代目安恒組」が手がける、節のない杉の木材による入り口やカウンター。それらが醸し出す凛とした佇まい
・有田焼の7代目弥左エ門による、圧倒的な存在感の「陶器の壁」。そして独創的な器の数々。
・「天皇陛下が来ても恥ずかしくない」と言わしめた書家によるロゴ、ライティング、web etc.

これら一つひとつが素晴らしいバランスで融合しており、木島英太朗氏の「伝統をベースに新しいものを創り出す開拓精神」が見事に表現されています。

そしてこの店は、カウンターに店主が立つことで、完成を遂げます。
美しい所作と丁寧な仕事が施された料理。
唯一無二の空間と時間を味わうことができるのです。

こうした『ブランディングをテーマとしたプロジェクト型の店づくり』
今後、熾烈な競争を勝ち抜くための必須条件になるのではないでしょうか。

“木島英太朗らしさ” が存分に表現された「鮨 木島」
ぜひ、体感して欲しいです。

《まとめ》
一流どころを集めればブランディングが成功するわけではない。
チームをまとめる力とセンスを持ったキーパーソンの存在が重要。

※鮨 木島
http://sushikijima.jp

※株式会社ケイス(建築設計事務所)
http://www.case-style.com

※breath company’s sewing studio
http://ameblo.jp/bc-195/

 

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