COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2016/02/18

【vol.389】様々な理由で管理職につけない優秀社員のキャリアアップについて

とても能力が高いのに、育児や介護、病気などのためにキャリア路線から外れなければならない人材。
あなたの会社にはいますか?

また、個人のスキルは高くても「マネジメントの仕事が苦手」という社員に、何かステップアップの選択肢を用意していますか?

そんな問題に対する一つの取り組みとして、弊社のお取引先であるセキミキ・グループ株式会社の事例をご紹介したいと思います。

女性向けのアパレル店舗を展開しているセキミキ・グループでは「サービスマイスター」という社内資格の試験があります。
「接客・販売のプロフェッショナル」の称号であるこの資格は、審査基準が非常に厳しく設定されています。
50店舗、二百数十人の販売スタッフの中で、選ばれるのはたった数名です。(資格は一年更新)


先日、今年度のマイスター試験が行われました。
書類による審査を経て、最終試験に6名が進みました。

丸一日かけて、ロールプレイングなどの実技試験と筆記試験、面接が行われます。

はじめに候補者の自己紹介からスタートしたのですが、それを聞いた時点で私は鳥肌がたちました。

《Aさん》
「10年以上働かせてもらっています。その間、4人の子供を出産しました。
私は勤務時間の制約があるので、店長などの役職につくことはできません。
でもこの資格を通じて、自分なりにもっと会社に貢献したいと思って応募しました。」

《Bさん》
「私は運動も勉強も苦手です。
けれど、接客の仕事では、お客様に喜んでもらえる。「ありがとう」と言って頂ける。
だから、私は接客の仕事がすごく好きだし、ずっと続けていきたいし、もっと高めていきたいんです。」

《Cさん》
「複数店舗を統括しているマネージャーとして、応募するのは本当に勇気がいりました。
『もし落ちたらどうしよう…』って。だから今日は、覚悟を決めてきました。」


自己紹介をしながら、感極まって涙する応募者も。
ここには書ききれませんが、一人ひとりがものすごく想いのこもったスピーチをしていたので、もし私が社長なら全員合格にしたいくらいでした。


今までセキミキ・グループの販売職のキャリアステップは、店長やマネージャーといった、管理職コースに限られていました。
しかし 、接客スキルが高い人が全てマネジメントに向いている訳ではないし育児など物理的な制約があって管理職になりたくてもなれないケースもあります。

そこで新たにサービスマイスターという資格制度をつくることによって、様々な事情を抱えた社員もステップアップの選択肢ができ、活躍の場を広げることにつながりました。

また、最近は「出世したくない」という考えを持つ若者も増えてきています。
採用活動においても、この資格の存在が応募者から注目されることが多く、採用力向上に寄与しています。


若い人を中心にキャリア観は多様化しています。
さらに、これからの日本は “介護” か “育児” で、社員10人のうち7人がフルタイムで働けなくなる、とも言われています。
そうした中で必要なのは「自社では管理職以外に、どういった人材を重用するのか?」という視点を明確に整理することです。

セキミキ・グループの「マイスター制度」は、そうした会社の価値観をわかりやすく社員に伝える役割も果たしています。


《まとめ》
人事制度は社員への “メッセージ”。
大切な人材に届く表現を。

 

IMG_9151 のコピー