COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2017/11/02

【vol.470】安藤忠雄の「余白」

先日、新国立美術館で「安藤忠雄展」を観てきました。
安藤忠雄さんは、建築物の「余白の空間」を大事にしているそうです。
明確な機能を持たない余白のスペースが、
人々の集まるきっかけとなったり、
ほっと一息つける“よどみ”や“溜り”となったりするのだ、と。

その解説を読んだときに、
京都国立博物館の特別展「国宝」を観た時のことを思い出しました。
超ド級の凄い品揃えだったのですが、とにかく人が多くて、ゆっくり見る余裕がない。
特に私が見たかった“曜変天目茶碗”は長蛇の列。余白とは対極でした(笑)

安藤忠雄展では、大阪で建築された「光の教会」が
“原寸大”で再現されていました。
(つまり“本物”です。7000万円かかったそうです!)
それが屋外につくられており、その大きさゆえ、
教会内をゆっくり体感できるスペース=“余白”も再現されていました。

夏に行ったロンドンやパリの美術館も、広々としていて、
ベンチや休憩スペースがたくさんありました。
そうした場所に人が溜まり、休憩したり、語らったり、物思いにふけったり。
作品や人との交流が深まったり、気づきが増えたりする。
余白がそうした価値を生み出しているのだと、改めて気づかされました。

企業の場合は、効率的にビジネスを進める必要がありますが、
“余白”についてはどう考えればいいでしょうか?

特に“時間”については、残業ができないプレッシャーの中で、
余白がさらに作りづらくなっています。
社員が集まりたくなるような場や、ほっと一息つける機会を、
作るのか。作らないのか。
改めて意識してみてはいかがでしょうか。

《まとめ》
社会も、社内も、いつのまにか窮屈になっている。

※安藤忠雄展-挑戦- 国立新美術館開館10周年

※京都国立博物館 特別展覧会「国宝」