COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2019/01/21

【vol.521】すぐに実践できて、求人に効く。「ティール組織」活用3つのポイント

求人募集しても効果がないと、お困りではありませんか?

求人募集をかけても応募者が増えない。
採用したいレベルの人材が来ない。
この空前の売り手市場下で、最近よく耳にします。

そんな中でも、「手放す経営」は、採用にかなりの効果を発揮します。

 

組織の在り方で会社を選ぶ時代の到来

私は先日、ホラクラシーを実践するITベンチャーの勉強会に参加しました。(「ホラクラシー」についてはこちら
すると参加者の中に「今後、ティール組織とかホラクラシー系の企業に転職をしたいと思ったから参加した」という人がいたのです。

また、手放す経営ラボラトリーで主催した「書籍“ティール組織”を学ぶ会」でも同様なことがありました。
「ティール組織のような企業への就職を考えています。
webで検索していたら、この勉強会を見つけたんですけど、ひょっとしてそういう企業も参加しているのではないかと思ってきました」と。
福岡県で開催したのですが、その方ははるばる熊本県から来られたのです。
(しかもその参加者は、やはり勉強会に参加していた、ティール組織化を実践中の私の取引先に、その後就職が決まりました!)

「それはレアケースでしょ?」と思われますか?

たしかに現時点ではそうかもしれません。
ただ、上記のケースはどちらも20代でした。
若い世代の中に、待遇や仕事内容ではなく、“組織風土を就職先を選ぶ基準にする”という価値観が増えていることは間違いありません。

現に、大学生に対する“就職先を選ぶ基準”アンケート調査では
「やりがいのある仕事ができそうかどうか」
「社風がいいかどうか」
が上位にきます。

社風とは、まさに組織風土のことですよね。
そして「やりがいのある仕事ができそうか」という基準も、よく聞いてみると“上司や同僚との人間関係”や、“仕事に納得感を持てるかどうか”という点と連動していることが多い。
つまり仕事内容そのもの、ではないわけです。

現状の組織でも「ティール組織」を取り入れやすい3つのポイント

企業の組織風土を重視する社会人は、これから若者を中心に増えこそすれ、減ることはありません。
それでは、企業はどう対応すればいいのでしょうか?

現実的には、ヒエラルキー型の組織が、ティール組織などの“手放す経営”型に移行するするのはかなり難易度が高いです。

ただ、短期的に採用に効果を発揮しうる施策はあります。

1.画一的な勤怠管理を手放す

「正社員は9時出社、8時間、週休2日」などと決めている企業の場合。
たとえば、9時半出社や6時間勤務、週休3日もOK、とするだけで即効性があります。

ブレスカンパニーでも昨年出社時間を自由にしたのですが、小さい子供がいるメンバーは「絶対に9時までに出社しなければいけない、というのと、朝の10〜15分を余裕を持って子供に向き合えるのでは、幸福度が100倍違う」と言っています。
大げさなことではなく、10分とか30分の差が、人によっては劇的な価値を生むのです。

 

2.部分的に手放す

部署単位で、ヒエラルキーではない組織形態を取り入れてみる。
社長直轄の経営企画室や、新規事業チームなどで、管理職を置かず、セルフマネジメントを重視する形態にする、などは実践しやすいと思います。
九州電力などの大手企業でも、部分的にティール組織を取り入れていたりします。

 

3.手放す宣言をする

いまは取り組んでいなくても「今後ティール組織化を進めていく計画をしている」という方向性を宣言するだけで、採用広報上では差別化になりえます。

これは言うだけなので、一番簡単です(笑)
しかし気をつけなくてはいけないのが、PR材料だけにとどまらないことです。
本気で取り組むという経営判断をした上でなければ、応募者に対してだけでなく、社員に対する信頼も失いかねませんので。

まとめ

先日、組織づくりに興味があるという大学4年生と話をしたときのこと。
就職活動をして、国内有数の組織コンサルティング会社に内定が決まったのですが、後日辞退したというのです。

理由を聞いてみると・・・
「就職活動中から、内定後もその会社のことを知るにつれて、私のやりたいことはできないかもしれないと思ったんです。ティール組織も読んで、こういう組織っていいなあ!と思っていたのですが、結局、その会社はヒエラルキー型の組織なんですよね。」と。

組織のかたちが、採用上のPRになるだけでなく、逆にハンデにもなりうるのです。