COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2019/02/01

【vol.527】ホラクラシーとは(入門編)

【ホラクラシーとは(入門編)】――――

最近、ニュースなどで目にすることが増えた「ホラクラシー」。
「気になってるんだけど、これっていったい何?」という方のために、入門編として整理をしたいと思います。

《ポイント1:次世代型組織の総称として使われている》

現在、ニュースやメディアで出てくる「ホラクラシー」は、こうした意味で使われていることが多いです。

・管理職がおらず、権限が個人に分散されている組織
・上下関係の無いフラットな組織
・自由度が高く、ルールが少ない組織
・情報がオープンな組織

いわゆる“ヒエラルキー”の対義語として、語られています。
「ティール」と似たような、“次世代型組織のひとつ”というくくりです。

《ポイント2: 本来は“組織マネジメントの手法”である》

実は、上記のような使われ方は、日本独特のものです。
ホラクラシーには“本家”があります。
「ホラクラシー組織」という言葉をつくったのはBryan.J.Robertsonという人です。
(「HOLACRACY 役職をなくし生産性を上げるまったく新しい組織マネジメント」の著者)

彼はホラクラシー組織と、その作り方を明確に定義しています。
著書にもあるように、本来は“新しい組織マネジメントのフレームワーク”なのです。

つまり、本来はティールとは同義ではなく、ティールの概念を実行するためのフレームワークのひとつと捉えるといいでしょう。

組織コンサルタントの山田裕嗣さんが、日本語と英語に分けて説明しているのがわかりやすいです。

ホラクラシー=自律的な組織運営の総称(ホラクラシー≒ティール
HOLACRACY=明確に定義された「組織運営の手法」に則った組織(HOLACRACY ≦ ティール)

※ここでも以下、「ホラクラシー」「HOLACRACY」で使い分けていきます。

《ポイント3:HOLACRACYは、国の政治に似ている?》

組織運営の手法としての「HOLACRACY」を取り入れている企業は国内ではほとんど見かけません。
その1社である株式会社scouty(スカウティ)のCEO、島田さんはHOLACRACY組織を
「HOLACRACY憲法に従って運営をしている組織」
と定義しています。

“HOLACRACY憲法”というのがなかなか難解で、また運用も簡単ではないところが、導入へのハードルが高いのだと思います

ざっくり解釈をすると「憲法とその運用がある」という点が、国の政治に似ています。

つまり【「憲法」によって、権限の分散を可能にしている】のです

たとえば…
・横浜市で決めることについて、すべて安倍首相への報告、承認が必要。
・福岡市長が決めたことを、安倍首相がひっくり返した。etc.

こういったことは、地方自治では起きません。
なぜなら、法律で役割や権限が決まっているからです。

しかし、企業ではよく聞きますよね。

例に挙げると…
・マーケティングチームで決めることについて、すべて社長への報告、承認が必要。
・リーダーが決めたことを、社長がひっくり返した。etc.

この状態が続くと、社員はテンションが下がるし、社長もストレスが溜まります。
これを解決するために、上述の株式会社scoutyでは社内の憲法を定めて、役割と権限を決め、社長であっても従わなくてはいけない仕組みにしている。

それによって、各チームは侵されない権限を得て、安心して役割と責任を全うすることができる、というわけです。

※詳しくは、島田さんのブログ、またゲスト出演いただいたPodcastをお聞きください

《まとめ》

・使われ方の違いを、理解しよう
・「ホラクラシー」 ≒ ティール
・「HOLACRACY」≦ ティール
HOLACRACYは、独自の“憲法”運用に基づき、地方自治のような権限の分散を可能にする組織のカタチ