COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2019/02/22

【vol.530】経営者が絶対に逃げられないミッション。経営の手放し方。

すべての経営者(特にオーナー経営者)にとって共通で、かつ最も重要な仕事は?

 

それは「どう経営を引き継いでいくか?」ということです。

会社は100年、200年と継続していくことができます。

しかし、経営者の寿命は限られている。

自分自身が永遠に経営を続けていくことはできないからです。

 

経営を誰かに委ねていく、ということは「経営権を手放す」ということですが・・・

その“選択肢”は、いくつあるでしょうか?

 

私は“5つ”あると考えています。

 

経営を手放す5つの選択肢
1.後継者に引き継ぐ

もっともポピュラーな経営権の手放し方です。

引き継ぐ相手は自分の子供か、社員です。

が、オーナー経営者は子供に引き継ぐケースが多いです。

 

「我が子のように育ててきた会社を、信頼のおける家族に託したい。」

特に創業社長にはそうした想いが強いですね。

他方、個人保証で借金をしていたりするので、社員が継ぎたがらないという事情もあります。

 

2.上場

会社を、オーナーの持ち物から手放して、パブリックなものにしていく方法です。

株主が増えることで経営と資本の分離は進み、万が一経営者に何かあっても、上場企業であることによって代わりの人材が確保しやすくなります。

 

3.組織改革

社長が持っていた経営権を手放し、社員に分散していくよう、組織のカタチを変えていく手法です。

トップダウン経営から、全員経営へ移行することで、社長が陣頭指揮を取る必要がなくなります。

ティールやホラクラシーなどの次世代型組織が目指すものは、これにあたります。

手放す経営ラボラトリーでは、その会社に合った形で次世代型組織のデザインを行ったり、組織づくりをサポートしています。

4.売却

会社を手放す。

第三者に事業を買ってもらい、経営を第三者に任せていく。

今風に言えば「イグジット」です。

 

5.清算

会社をたたむ。廃業する。

ビジネスモデルが時代に合わなくなってきたり、後継者がいない場合に取る方法です。

 

まとめ

 

こうして整理してみると・・・

手放す経営ラボラトリーのテーマである、次世代型組織づくりは“経営権の手放し方の選択肢のひとつ”なのです。

 

企業はなんのためにあるのか?

存在目的(ミッション)の追求であり、事業を発展させていくことです。

経営者が私腹を肥やすことでもなければ、上場することでもありません。

 

社長の経営権を分散する組織づくり。

日に日に速度を増す時代の変化に対応しながら、事業を伸ばしていく際に、もっとも実現可能性が高い方法だと私は考えています。

社長がすべてを判断しなくても、各々が自主的に判断して実行していくことができれば、事業のスピードは確実に上がります。

 

社長の両肩にズシリとのしかかっているプレッシャーも、かなり軽くなるでしょう。

「会社のことを考えているのは俺だけだよ・・・」という孤独感も減るかも!

 

経営者の役割を「重要事項を決断すること」から「社員がセルフマネジメントができるような組織のデザインと維持」へとアップデートしましょう。

そうすれば“自分と同じくらい優秀で覚悟を持った後継者”を探さなくても、事業の成長を実現していけるのです。