COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2019/03/25

【vol.531】ティール組織を導入したいと考えている経営者に読んでほしい“4つのステップ”

「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019」でマネジメント部門賞に輝いた『ティール組織』。

読んでみて「自社でも取り入れたい!」と考えている経営者は多いのではないでしょうか。

 

しかし書籍『ティール組織』では、進化する組織の特徴や事例は載っていますが、「やり方」は書かれていません。

 

私たちは「ティール」は手法ではなく、“概念”だと捉えています。

ティール的な組織づくりを行なっていく際には、何らかの進め方やフレームワークが必要です。

そこで、ここでは“手放す経営的組織デザイン”のフレームワークを、ご紹介します!

 

組織デザインのための“手放す経営的”フレームワーク

 

私たちのフレームワークでは、次の4つのステップで、新しい組織のデザインと実行を進めていくことができます。

 

1.事前準備

2.情報公開

3.見える化

4.ガイドラインのデザイン

このステップをひとつずつ解説をしていきますが、その前に・・・

ティール的な組織づくりをする狙いについて、手放す経営ラボラトリーとしての考え方を、ご説明しておきます。

 

それは

【セルフマネジメント(自主経営)が機能することで、しなやかで活力あるチームができ、企業の存在目的をよりスピード感をもって実行できるようになる】ことです。

 

セルフマネジメントとは、経営者や上司が持っていた権限を、社員に分散していくことです。

イメージでいうと、マネジメント層が持っていた100の権限が、5とか10に減り、大半の意思決定権を社員や部門が持つようになるということです。

 

それによって、経営者や上司への依存度が減ったり、いちいちお伺いをたてる必要がなくなるので、スピードが速まる、といったメリットが生じるのです。

 

そうしたことがしたい経営者には、ティール組織は向いていますし、逆に権限を分散したくない(または分散する必要がない)組織では、導入する必要がない訳です。

さて、それではひとつずつ見ていきましょう!

1.事前準備

まず行うことは「理念の整理」と「進め方のデザイン」です。

ティール組織化は、なんのためにするかというと、存在目的の追求のためです。

 

ですから、企業の存在目的(ミッション・ビジョン・バリュー)が明確になっていることが大切です。

曖昧だったり、古くなっていたりしたら、整理をし直しましょう。

 

その上で、進め方を決めていきます。

 

⑴対象範囲を決める。

部分的にスタートするか?一気に全社に導入するか?

 

⑵誰が進めていくかを決める。

経営トップが関わることは必須ですが、プロジェクトチーム化することをおすすめします。

 

⑶スケジューリング

ざっくりとでいいので、どれくらいのペースで進めていくのかを決めます。

私たちがプロジェクトに関わる場合は、3ヶ月〜半年かけて、上記1~4のステップを踏み、スタートを切っていくケースが多いです。

 

2.情報公開

情報公開の目的はふたつです。

ひとつめは、会社と社員との信頼関係をつくることです。

人は、隠されている部分には不信感や不満を抱くものです。

 

会社が社員に対してオープンであることを、まず会社側から表明する。

それは口で言うだけではなく、情報を公開することが、一番わかりやすく効果があります。

 

ふたつめは、自主的な意思決定に必要な情報提供です。

もし「経営者視点で判断ができるようになってほしい」と考えるなら、社員も、経営者と同じだけの情報を持つことが必要です。

 

具体的には、「財務情報(PL,BS,CF)」や「給与・報酬情報」「経費」など経営に直結する内容です。

 

「給与や経費って絶対オープンにしないといけないの?」とよく質問されますが、“絶対”ということはありません。

 

しかし、見えない部分があることは、会社に対する不信感につながります。

会社に対する信頼関係ができていないのに「主体的に行動したい!」という気持ちにはならないだろう、というのが私たちの考え方です。

 

特に給与や経費は、難易度が高いです。私も経験者ですが(笑)

どのように進めるかというペースや、公開する範囲は、企業によって変わるでしょう。

 

3.見える化

主体的な意思決定と業務遂行に必要な情報を「見える化」していきましょう。

具体的には「ビジネスモデル」「組織形態」「顧客情報」「戦略・マーケティングの流れ」「予算策定・管理」「業務フロー」

などです。

 

ここが曖昧なまま権限を分散していくと、個々の判断や行動の方向性がバラバラになってしまいます。

 

4.ガイドラインのデザイン

いよいよ最後のステップです。

「自由に意思決定していいよ!」

と言われたところで、セルフマネジメントに慣れていない人にとっては

「どこまでやっていいの?」

「本当にやっていいの?失敗したらどうしよう?」

と、不安が先行しがちです。

 

そこで、ガイドラインをつくります。

意思決定していい範囲や、役割を決めるのです。

制約やテリトリーを決めることで、この中では自由に動ける、という体制ができます。

 

「意思決定のプロセス」「役職と職務内容、権限」「ミーティングの仕方」といったところがポイントになります。

 

いよいよスタート!

 

さあ、ここまでできれば、いよいよセルフマネジメントのスタートです!

 

スタートしてからは、うまくいったり、不具合が出たりと様々なことが起こり得ます。

試行錯誤と改善を積み重ねながら、自社らしい組織と文化をかたちづくっていく。

その旅路が、素晴らしく価値のあることなのです。

 

どうぞ、社員の方々と楽しみながら、歩みを進めていってください!