COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2019/04/10

【vol.535】ティール組織は“爆速”を生み出す。【手放す経営の効果1】

ティール組織にする最大の価値は?

現代は「VUCA時代」と言われます。

(Volatility:不安定さ、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性の頭文字をとったことば)

 

この“答えが分からない”時代、わたしたち企業にとって欠かせないものは、変化への対応スピードです。

状況の変化にいかに素早く対応できるかが、成否を分けます。

 

このスピードですが、昔とは求められる“質”が違います。

時代の変化がいまほど早くなかった時は、イメージでいうと、いかに直線距離を速く走るか?という、シンプルなスピード勝負。

この場合、トップダウンでぐいぐいと進めることが可能でした。

 

一方、現代は、曲がりくねった道なき道を全力疾走することが求められます。

瞬時の判断をトップがしなくてはならないとなると、その負担はとても重いですし、スピードも上がりにくい。

 

ティールのような次世代型組織は、柔軟性とスピードとを併せ持っている点が、最大の特徴なのです。

 

なぜスピードアップできるのか?

 

自社を次世代型組織にアップデートすると、どのようにスピードアップが実現できるのか?

やり方は様々ですが、ここでは“手放す経営スタイル”のフレームワークに沿ってご説明します。

 

【1速→2速へ】階層を最適化し、スピードアップ

ヒエラルキー型の組織は、階層構造になっていますが、多くの企業で、不必要に増えているケースが見られます。

階層構造は、上からの指示命令や管理には適していますが、稟議や資料作成、根回しなど、ムダな社内業務が生まれやすいです。

内向きな仕事が増えると事業のスピードは落ちます。

(大手企業が「低速企業」などと揶揄されてしまう一因)

 

組織の状態をチェックし、不要な階層を減らす。

情報の流れをスムーズにし、稟議や報告書、会議、決済などの社内業務のムダを減らしていく。

 

スピードアップの第一弾は、業務改善。

無理なくムダをなくすことで、すっとギアチェンジができるのです。

 

【3速】見える化でスピードアップ

 

次世代型の組織づくりで極めて大切なポイントは、オープンであること。

つまり“見える化”です。

 

次の3つの見える化を進めることで、チームワークの醸成と、個々が意思決定をしやすい環境ができます。

 

1.目的の見える化

会社の目的を一人ひとりが理解していること。

「わたしたちの存在目的は何か?」という座標軸と、「どこに向かうのか?」という旗印が、道無き道を照らすライトとなり、歩みを進める原動力となります。

 

2.会社の見える化

経営情報や業務フロー、タレントマネジメント、コミュニケーションなど会社に関する情報をオープンにすることで、会社に対する不信感が減ります。

(人は隠れている部分をポジティブに捉えないので)

また、必要な情報の見える化は、社員の意思決定の精度を高めることにもつながります。

 

3.社員の見える化

日常のコミュニケーションを通じて、お互いの人となりがわかっていること。

思ったことを率直に言い合える関係性をつくりことで、チーム力が高まります。

 

【4速】セルフマネジメントで、スピードアップ

意思決定を社員一人ひとりに委ねられるようになれば、ぐぐっとスピードは上がります。

ただし「任せたよ!」といきなり丸投げしても、上手くいくわけではありません。

個々のスキルや意思決定能力には差があるからです。

 

意思決定してもよい範囲や、ガイドラインの設定。

意思決定の手順を整備することに加えて、トレーニングが必要です。

 

【5速】柔軟性の高いチームができ、改善のスピードアップ

個人やチームに意思決定が分散されると、スピードは上がります。

ただし、チーム内で階層ができてしまうと、既存のトップダウン型の組織が、サイズが小さくなって増えた、ということになりかねません。

 

大切なのは、チーム内で主体性を引き出す運営がなされること。

たとえば、役割の決め方や、メンバーの出入りのしやすさなど。

柔軟性の高いチームができると、運用と改善のスピードが上がります。

 

【6速〜】社員一人ひとりが、イキイキと主体性を発揮できることでスピードアップ。

組織の目的に共感していること。

会社との信頼関係ができていること。

上司の目を気にせず、自分のミッションに集中できること。

 

想いを同じくし、お互いを認め合うチームがあり、自分たち自身で事業を動かしていく手応えを感じられていること。

 

そんな状態だったら「明日もいきたい!」と思える。

他社と同じ仕事内容、同じ業務時間だったとしても、パフォーマンスに圧倒的な差がでますよね。

 

まとめ

目標達成のために、合理性や効率を重視する組織づくりが、これまでは一般的でした。

それが間違いだという訳ではありません。

 

しかし合理性や効率の追求は、もはや行き着くところまで行っている印象があります。

この先何年も、毎日毎日、誰かが決めた数値目標の達成だけを見据えて、全力で走り続けていくことを想像すると・・・希望が湧いてきません。

 

私たちには、ミッションが明確だったり、価値を発揮できている実感などの「心の満足」、そして「つながり感」が必要なのです。

 

それらを組み込んだ組織づくりができたとき、効率の追求を超えたスピード感と、臨機応変に対応できる柔軟性を手に入れることができるのです。