COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2019/04/10

【vol.536】できない上司を生み出す原因は、組織の◯◯◯にあった。

組織が機能不全を起こす大きな要素として、マネジメント職のスキル不足や人格の問題があります。
今回は、実力不足のマネジメント職についての対処方法をご紹介します。

上司がデキる部下の活躍を素直に喜べない話。

先日、知人のKさんから上司についてのエピソードを聞きました。
Kさんは大阪の広告代理店で営業課長をしています。
Kさんの実力は社内外問わず定評があり、任された営業数字の責任は必ず全うする凄腕の営業パーソンです。

 

1年前に新たに部長が就任したのですが、Kさん曰く、その人物は「ダメ上司」。
営業経験に乏しい割に、融通が効かない。
しかも性格的に難ありで、精神的にバランスをくずしてカウンセラーに駆け込む部下が続出していると・・・。

 

極め付けだったのが、年度末のできごと。
取引先から急に広告のキャンセルが入り、売上に数億円の穴が空いてしまうことに。
残りの営業日数も少なく、未達で終わってしまうという事態に陥ったそうです。

 

そんな緊急事態に、Kさんが起死回生の一発!
顧客から指名で経営者を紹介してもらい、初対面で大型契約を決めて、見事、部署は年間達成!

帰社すると、社長以下、役員の方々も大喜び。
社長賞をもらったそうです。

 

そのように、社内が沸き立つ中で・・・
部長からは「よくやった!」とか「ありがとう!」とか、労いのことばがひとこともなかったのだそうです。

「別に褒めて欲しいとかではないんですよね。
ただ、直属の上司なんし、自分の部署のことなんだから、一緒に喜んでくれてもいいんじゃないかと・・・。

きっと、部下の手柄を素直に喜べない人だと思うんです。それを見て「ちっさ!」って、思っちゃいました。」

とKさん。

“上司が頼りない”“できない”という話は良く聞きますが、これはなかなか強烈ですよね・・・。

 

あなたが経営者だったら、どんな手をうちますか?

 

そこで・・・!
このケースを題材として、みなさんに考えてもらいたいです。

 

 

もしも、自分が経営者だったら、

 

■管理職として実力が足りていない
■人格が成長しきれていない

 

といった課題があるマネジメント人材に対し、どんな対策を講じますか?

呼んで、指導するのか?

研修を受けさせるのか?

降格させるのか?

 

機能不全を起こす原因は、組織図にある。

 

私は、このケースの場合、部長本人に原因があるわけではないと考えます。

 

本質的に問題なのは、組織図です。

 

個人の能力や適性より、組織図を優先したマネジメントをしているから、今回のような“上司”が生まれてしまうのです。

 

聞くと、この部長は社内でも評判がよくなく、同僚からは「あの人が上司になっちゃったんだね・・・」とか、上層部からは「すまないが、こらえてくれ」といったことを言われるくらいだそうです。

 

それでも、なぜ部長職についているのか?
それは「部長のポストが空いているから」です。

 

その役割を果たす力量がないとわかっていても、現状の人材に合わせて組織図を書き換えるのではなく、決まった組織図に合わせて人を配置する、という優先順位になっているのです。

もちろん、会社にはそれぞれ事情がありますし、常に適材適所に配置できる人材が整っている方が少ないでしょう。

不足するスキルは、研修で補填する。
あるいは役職を与えること自体が、成長のきっかけとなる。

そういう考え方もあるでしょう。

しかし、階層型の組織の中で、上司という立場を先に与えてから、育てることは至難の技だと私は思います。

人はその立場に、慣れるからです。

 

人は、慣れる生き物。

 

私も経験があります。

会社勤めをしていた頃、一時期とても高い給料をもらっていました。
今ふりかえると、とてもその実力はなかったと思います。
当時も最初はそう思っていましたし「自分に見合った給料じゃないから、もっと頑張らなきゃ」と謙虚な気持ちでいました。

 

けれど、半年たち、一年経つと、慣れました(苦笑)
自分は相応の実力があるんだ、もらって当たり前だ、という気持ちに、なっていました。

もちろん、私のレベルが低かったのだと思いますが・・・
しかし多くの企業を見てきて、大半の人は、そうなるものだという実感はあります。

 

何を言いたいのかというと、ピラミッド型の組織で、役職を与えてしまうと、人は慣れてしまい、育てるのが難しくなるということです。

 

「私は部長。課長や部下は、自分より下。」

「実力も、下。」

「自分より仕事ができてはならない。」

 

スタンスのレベルが低い人は、そういった思考回路になりがちです。

 

そして、男性は、プライドが高く、嫉妬ややきもちの感情が強い生き物です。
そうした特性は、うまく活かすことができれば、「上に立ちたい!」「勝ちたい!」という意欲を掻き立てる効果につながりますが・・・
(階層型組織はその意味で、男性に向いているのです)

逆に作用すると、頑張る部下の足を引っ張ったり、人の活躍を素直に喜べなかったりと、妬みの感情が仕事に悪影響を及ぼすことになりかねません。

 

そうした行動は、上下関係を前提とした組織図が、作用しています。
組織のカタチが、先の部長のような人材を“育てている”のです。

 

人を育てる、組織のカタチ。

 

では、どうすればいいのか?

降格させるのは対処療法としてはアリでしょう。
しかし妬み、やっかみの気持ちは強まります。注意が必要です。

 

私だったら、組織のカタチを変えます。

Kさんのようなスペシャルな営業パーソンがいるチームなら、管理型の上司は必要ありません。
各々が仕事をやりやすいような環境づくりと、サポート。
それがこの会社の営業部における部長の役割だと、再定義をします。

 

その要件を満たす人材がいれば配置をしますし、いなければ無理に埋める必要はないでしょう。
その場合どのようにチームを成り立たせればよいかは、必要に応じてが話し合って決めれば良いのです。

 

まとめ

組織のカタチが、社員を教育し、言動に影響を与えていきます。

組織図ありきではなく、自社においてパフォーマンスをあげるチームづくりはどういうものか?と考え、最適解を模索していくことが大切です。