COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2012/09/13

【vol.218】500万円あったら、何に使う?

先日、博多織の会社を経営されている社長から、こんな話を聞きました。

ある日、二人の若者から、職人になりたいという応募がありました。彼らは大学を卒業後、博多織の専門学校に2年間通っていたそうです。

技術を試験してみると、一人前になるには、あと3~5年位かかるということがわかりました。

そこで社長は「採用するのはいいが、一人前の給料は払えないですよ。他の中・高卒の職人見習いと同じように、10数万円位のスタートでよければ。」と応募者に話したそうです。

すると若者たちは「それだと、生活ができないんです。大学4年間の学費、それに専門学校の費用(2年間で200万円)も出してもらって、これ以上親には迷惑がかけられないんです。」と語り、就職を諦めて帰ったそうです。

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このケースでは、大卒という経歴が、就職にプラスに作用していません。極端な例と思われるかもしれません。しかし、一般企業でも同じ様な現象が起きていると思います。

これまでの企業は、高卒より大卒の方が、就職に有利でした。しかし年々、学歴よりも中身が問われるようになっています。

プロ野球でいうと、高卒は育成対象ですが、大卒は即戦力が求められます。企業においても同じ様に、知識やスキルでのスペシャリティが求められているのです。

何の分野でスペシャリストになりたいのかを想定して、準備を重ね、実力を磨かなければ、“大卒だからといって、一律で高い給料は払えないよ” というのが企業のホンネなのです。そうなると、数百万円の学費と、4年間の貴重な時間の投資が、果たして割に合うのか?ということは真剣に考え直す必要があります。

特に、今は時間が貴重な時代です。若者でも社会で活動できるインフラが揃っており、4年間をどう過ごすのかで、すごく大きな差が生じます。もし、危機感の薄い大学に入学して、特に目的もなく4年間を過ごしたとします。卒業する頃にはスピード感も危機感も失い、市場価値が劣化した人材になっている可能性が高いのです。

つまり、“とりあえず大学に行っておこう” という時代は、終ったのです。

これからは、「とりあえず、大学に行かない」と決めてみてはどうでしょうか?

お金と時間を、何に、どう投資するのか?ということはもっと色々な選択肢があります。早く社会に出て、ある程度仕事をしてから、本当に勉強したい事に投資をする、という方法もあるのです。

そして企業は、学歴が高い=優秀という先入観にとらわれずに、能力や人柄を見極める目を磨いていきましょう。

時代の変化に対応するということは、今までの常識を捨ててみるということだと思うのです。

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