COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2012/11/29

【vol.229】鉛筆を、つくれますか?

突然ですが、みなさんは鉛筆をつくれますか?

あるいは、作り方を知っていますか?

以前にも取り上げた「TED」で、ジャーナリストのマット・リドレーさんのプレゼンを見ました。

テーマは、「アイディアがセックスするとき」という、ドキドキする題名(笑)

“人類が、どのように生活水準を向上させてきたか?” という主旨です。

例として、平均的な収入の労働者が、1時間分の明かりを購入するのに、どれ位の時間の労働が必要か?という話が面白かったです。

現在だと、1時間分の明かりを買うのに必要な労働時間は0.5秒。

それが、1889年までさかのぼると15分かかり、1800年には6時間にもなったと。

つまり1800年当時の一般人には、明かりを買うことができなかったということですね。

これは人類の生活が豊かになってきたことを表した例です。

なぜ、このことが実現できたかというと「専門化」と「分業」によってだ、というのがリドレーさんの主張です。

 

ここで冒頭の鉛筆の質問に戻ります。

世の中に鉛筆をイチから作れる人はいるのか?

いないのです。

鉛筆工場で働いている人も、黒鉛の堀り方や、木の切り方を知っている訳ではないのです。

 

『人類は専門化と分業によって、個人の能力や知性の限界を大きく超える生産力を手に入れることができた。だから、社会にとって有益なのは “個人の脳みその賢さ” ではない。人々がつながりを深め、アイデアが新たな形で交わることで “集団脳” として機能し、技術がさらに進化していくのです。』

“社会においては、一人ひとりが “集団脳” の一部なんだ” という話が、すごく響きました。

 

このことは、企業においてもあてはまると思います。

これからの企業の成長ポイントは、いかに組織を “集団脳” 化するか?

つまり、部下から、お客様から、あるいは社外からアイデアを引出し、収集して、自社を改善、進化させていく。

その能力が高い人が、優秀なリーダーの必要条件であろうと思います。

個人のIQが高くても、今までの手法を部下に教えるのが上手くても不十分。

鉛筆の作り方を知らなくてもいい。

作るのが上手じゃなくてもいい。

革新的な鉛筆をつくりだす組織運営ができることが、重要なのです。

 

では、組織を “集団脳” 化させうるリーダーに必要な要素は何でしょうか?

アイデアを引き出すコミュニケーション力、編集力、先見性、そして集合脳リーダーを育てる力、などでしょう。

個人の能力が幾ら高くても、それだけでは、時代の変化への対応はできない。

リーダーの定義は、変化しているのですね。

 

※「TED TALKS」Matt Ridley: When ideas have sex

http://www.ted.com/talks/matt_ridley_when_ideas_have_sex.html

※読むTED

http://ted.babblebuzz.com/archives/1626_%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%EF%BC%9A%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2/

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