COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2013/04/11

【vol.247】映画さんぽ「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

8日に亡くなられた、イギリス初の女性首相、マーガレット・サッチャーの半生が綴られた作品です。

安部首相が「意志の力を身を持って示した偉大なリーダーだった」
と言われていましたが、そのことが良く描かれています。

私が強く印象に残っているのは、1982年のフォークランド紛争の話です。

当時、イギリスが実効支配していたフォークランド諸島(アルゼンチン沖500kmの大西洋上)を、アルゼンチン軍が占領。イギリス本土から遠く離れた場所にあり、700以上の小島を全部合わせても長野県と同じ程度の面積。

人口わずか3000人の諸島への対応を、当時のサッチャー首相が迫られます。
遠方へ軍隊を派遣すれば、莫大な予算がかかる上に、勝てる見込みも分からない。また死者が出る可能性が高い。
「ほっといても本国に何の支障もないじゃないか」という意見も多い中で、どう決断を下すべきか。

自分の判断が、即人命に直結する。
戦争では当たり前の話なのですが、この映画ではなぜかとても真に迫ってきて、息が詰まる思いでした。

なぜ、そのように感じたのかを思い返してみると、サッチャー女史の人間性や、母としての感情が上手に描かれていたからだろうなと。

これが男性のリーダーだったら、“男らしさ”や”強さ”といった観念にくるまれて戦争や政治が大枠で語られてしまいがちです。

女性ならではの感性や視点が伝わってきたために、「自分だったら、どうするんだろう?」ということが、よりリアルに考えさせられました。

そして、この映画を通じて、私が古い価値観に縛られていたということに改めて気づかされました。

愛情深い男性と結婚して、子供にも恵まれた女性。
そんな人が、宿泊先のホテルで爆弾テロに遭ったり、国中から壮絶な誹謗中傷を浴びたり、鉄の女と揶揄されたりする。

「女性なのに、なんでそこまでして頑張らなきゃいけないの?」とつい思ってしまいます。

つまり、「女性って、こうあるべきだよね」という先入観が、私の中に思っていた以上にあったのです。

しかしこれからの時代、それではダメですよね。
サッチャー女史を「鉄の女」などと特別視している限りは、企業にも世界にも進歩はないと思いました。

リーダーの仕事の高みと、私の価値観の偏りを思い知らせてくれたサッチャー女史に感謝したいです。

心からご冥福をお祈り致します。

■マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(原題:The Iron Lady)
http://ironlady.gaga.ne.jp/

 

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