COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2013/09/12

【vol.268】気になる本「野心のすすめ」

『いまや世の中には歴然たるヒエラルキーが存在しています。
たとえば、貧乏なウエイトレスの女の子が大金持ちの男性から
結婚を申し込まれるなんていうことは、もはやありえません。』

新書なのに43万部も売れている、林真理子著「野心のすすめ」。

私が一番印象に残ったのが、上記の一節です。

林真理子さんが、なぜそう言い切っているかというと・・・
昔は貧しくて教育を受けられない人がたくさんいたから、
『貧乏だけど賢くて健気な女の子』が、存在しえた。

でも、いまの世の中で『教育をロクに受けていない人というのは、
単に努力しない人だとみんなわかっている』から、ちゃんとした
男性は近寄ってこない、と言うのです。

納得!と思いました。

この話は、教育にとどまらないですよね。
情報インフラ、ネット環境、ITツール、ビジネスアプリに
時間管理術 etc.

仕事の効率を高めたり、速く成長できたりする環境が
豊かに揃っています。

昔に比べて、同じ努力で何十倍ものパフォーマンスを発揮
しうる、“努力しがいのある”世の中なのだなあと。

他方、無料ゲームやSNS、ファストファッションなど、
お金をかけなくても時間を費やせ、楽しめるツールも
山ほど揃っています。

稼がなくても、努力しなくても毎日を楽しく過ごせます。

そうした、“頑張ろうという気持ちを邪魔する誘惑”と、
“努力を実らせまくってくれる環境”のはざまで、私たちは
生きている。

“努力する人”と“しない人”とでは、とんでもなく
差が広がってしまうのが現代なのですね。

上述の『単に努力しない人だとみんなわかっている』
のは、女の子に限った話ではない。
組織において、経営トップやリーダーもその対象です。

立場に安住せず、常に勉強と仕事の改善に注力しているか?
新しいノウハウを取り入れ、スピードを増しているか?

部下は、見ています。

地位ではなく、努力の量と成長速度によって、
優秀な部下に選ばれるかどうかが決まるのです。

この本の題名にある“野心”という言葉や考え方は、時代遅れ
だと感じる人もいると思います。
私は“努力”あるいは“向上心”というフレーズと置き換えた
時に、とても納得感がありました。

『野心のすすめ』林真理子 著(講談社現代新書)

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