COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2014/02/13

【vol.289】 あなたの仕事は、何ですか?

ある会社の新卒採用の説明会でのこと。
29歳の男性社員コダマさんが、学生に対して自分の転職の
経緯を話していました。

「大学を卒業してこの会社に来るまでに、2つの会社を
経験しました。どちらも一長一短はありますが、人間関係も、
待遇も悪くない。給料など前職の方が良かった位です(笑)
仕事内容も特に不満はありませんでした。

ただ、唯一あるとすれば、仕事に対してのやりがいや、
達成感が感じられなかった。そして「こうなりたい!」
という目標や夢を見つけることができませんでした。
それが前職2社の共通点です。

一方、今の会社での仕事は、すごくやりがいがあります。
そして、夢や目標がなかったとしても、それを見つける
サポートもしてくれるんです。

今、自分には目標があります。夢があります。だから、
毎日がすごく充実しています。」

この会社は福岡県久留米市が本社で、酒の卸事業をされて
いるI社です。

ユニークなのは、自社の事業を「酒類卸業」ではなく、
「酒文化価値創造企業」と定義していること。
そしてI社の仕事とは「お酒の愉しさ、夢やロマンを伝える
こと」だと決め、本気でそうした活動をしている点です。

例えば、社員がソムリエの資格を取り、ワインスクール
を社内で開講。「10年間で100人のソムリエを輩出しよう」
というビジョンを掲げて活動をしています。

ワインが好きで、詳しい人が地域に増えることで、
お酒を楽しむ機会が増えたり、お酒の愉しみ方を知る人が
増える。お酒と楽しくつきあえる人生はとても豊かだし、
そういう人が増えれば地域は元気になる!

「お酒の愉しさを伝える」ことがミッションだからこそ、
真摯に取組んでいるのです。

社員の方々はお酒に関する様々な資格を取り、
様々なイベントを企画して、お酒を楽しむ機会を自ら
つくっています。

当然、お酒を愉しむ人が増えればお酒の消費も増える。
お酒に詳しい人の方が、取引先によりいい提案ができる。

お酒の愉しさを伝える活動は、まわりまわって業績に
はね返ってくるのです。

I社のそうした姿勢と、本気の実践の継続を通じて、
コダマさんの共感度が高まり、会社でのやりがいや
目標を見出すことに繋がったのではないでしょうか。

「若い社員に夢や目標を聞いても、答えが返ってこない」
という声をよく聞きます。

ひょっとするとそれは、会社が社員に “背中を見せる” ことが
できていないサインなのかもしれない。

社員が人生を賭けたい!と思えるような目標設定。
共有したい!と奮い立つようなビジョン。

I社のように、自社の “事業” と “仕事” を定義しなおすことで、
組織の求心力が劇的に変化するかもしれません。

《まとめ》
売上目標には響きづらい若者たち。それは意欲が足りないの
ではなく、より本質的な価値観を持っているからかもしれない。

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