COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2014/03/27

【vol.295】 Black or White

ある大手企業の若手社員に対して、研修の際に
「どんな仕事にやりがいを感じるか?」とアンケートを
とったところ、下記のような順番になったそうです。

1. お客様に感謝される
2. 個性を発揮できる
3. 創意工夫ができる
4. 報酬が高い
5. 目標や成果が明確
6. 規模の大きな仕事

この結果を見て、人事部は騒然。
これまでとは、全く逆の傾向が出たからです。

4~6は、働く目的が、お金や地位など、外的な要因に
なっています。(これを「外的動機づけ」と言います)
この要素が、今までは常に上位にきていました。

一方、1~3は、仕事そのものにやりがいを感じていることを
表しています。(これを「内的動機づけ」と言います)

人事部にとっての悩みは、1~3の要素が “数値化できない” ことです。
「出世」「給料up」「大きな権限」といった分かり易い
評価軸をベースに、教育や評価をしてきた企業。

現幹部は、その価値観のもとで出世してきた人たちです。
上記の「外的動機付け」にやりがいを感じない社員を、
どう育てて、どう評価していけばよいか分からないのです。

私はこの話を聞いて『ステイタスの象徴のような “大手企業” を
就職先に選ぶ人でさえ、はたらく価値観が変化している』という
事実におどろきました。

話は変わりますが・・・
最近 “ブラック企業” というコトバが流行っていますよね。

長時間労働を強いられたり、劣悪な労働環境だとされる
企業が挙げられていますが、仮に待遇を改善すれば、
そのレッテルは解消するのか?

そうとは限らないと思うのです。

たとえば、ブラックと呼ばれてしまうなかにも
「地球一たくさんの “ありがとう” を集めるグループになろう」
というビジョンを掲げている企業があります。

その文言は、素晴らしい。
しかし、社員はこう思っているのではないでしょうか?

『理念にはそう書いてるけど、本当に追求しているのは、
そこじゃないよね?!「○年に○百億!」という目標が大事なんだよね?』

会社が本当に重視しているのは何か?
社員の内的動機付けを満たす気があるのかどうか?
若者は見透かしているのではないかと思います。

『お金よりも、人の役に立てる仕事がやりがい』という人材を、
「ハングリー精神がない」と、根性を叩き直すのか。
それとも、そのメンタリティを活かした組織づくりをしていくのか。
会社のあり方が本質的に問われていると思うのです。

《まとめ》
働く環境や給料を改善しても、それだけでは社員の定着の切り札
にはならない。“内的動機づけ”を満たす組織作りを!

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