COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2014/08/21

【vol.315】すき家の限界。

「すき家のビジネスモデルは限界」
という「調査報告書」が公表されたと、報じられていました。

「『昼夜を厭わず、生活のすべてを捧げて働き、生き残った
者が経営幹部になる』というビジネスモデルが、その限界に
達し、壁にぶつかったもの」

ゼンショーホールディングスが設置した第三者委員会に
よる報告書には、そうした踏み込んだ言及があったそうです。

すき家に限らず、いま活躍している経営幹部のほとんどは、
モーレツに働いて生き残った人達のはずです。

『 “モーレツ精神” に頼らずに、どうやって成果を出して
いけばいいんだ?』
そう悩んでいる上司は多いのではないでしょうか?


話は変わりますが・・・
先日マレーシア人の男性と話をする機会がありました。

アドリさんという方で、「ルックイースト政策」
( “日本から学ぼう” という趣旨でマハティール元首相が
 掲げ、30年以上継続されている政策)
のもと、東京の大学に留学。卒業後、日本の企業に10年間
勤め、帰国。現在は会社を経営されています。

「マハティール氏がいつも言われるのは
『これからは、低賃金をウリにするのではなく、ソフト力
で勝負しなくてはダメだ。そのために日本のカルチャーを
学びなさい』ということです。」

とアドリさん。

「日本の《時間厳守》や《相手を立てる》という点は
特に素晴らしいです。
たとえば日本人は、取引先に3日後までに欲しい、と
言われたら残業してでも間に合わせようとしますよね。

ところが、マレーシア人には、無理してまで相手の役に
立とうという概念が薄い。時間に対する感覚もユルい。
そういう部下達に、“納期” の発想を教えるのはとても
大変です。

私たちが劣っているというよりは、日本人の水準が
世界的に見て高過ぎるのです。」


単純労働から脱出するために、ソフト力を磨こうと
しているマレーシア。

かたや日本も、人材活用の見直しが迫られている点
では同じです。

人件費を抑えた低価格競争に未来がないことは、
すき家のケースでも明らか。
経済発展を成し遂げ、恵まれた社会を実現してしまった
日本で育った若者は「モーレツ」も「単純労働」も
できない身体になってしまったからです。

日本の経営幹部が取組むべきは、自分の成功体験を
リセットすること。そして、限られた時間で今までの数倍、
数十倍の付加価値を創り出す人材マネジメントの追求でしょう。

それは、必ずできます。日本人は世界から羨ましがられる
付加価値創りに向いた特性を持っているのですから。


《まとめ》
「ハングリー精神」対決では、もはや世界には勝てない。
 “日本人を活用できる” というアドバンテージを活かした
世界にまだない新しいマネジメントの開発を。

phonto