COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2015/03/12

【vol.343】おすすめ本~星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント

ファミリービジネス=同族経営企業
をテーマにした本。

最近はこのテーマの書籍も増えているようですが、
私が読んだなかでは、抜きん出て面白かったです!

どこが面白いかというと…
ひとつには後継者の「リアルな本音」が綴られているところです。

本書では、星野さんが聞き手となり、14人の
後を継いだ経営者と対談をしています。

このとき、星野佳路さん自身が4代目の経営者であること、
そして、父と激しく対立して、入社して
わずか半年後に一旦退職するという「失敗」を経験
しているという点が、いいのです!

学者でもインタビュアーでもなく、同じ後継者同士ということで
(しかも単なる成功者ではないため)
やりとりが深く突っ込まれ、真に迫ったものになっています。

子供の頃から継ぐことが当然だと思っていた人、
継がないつもりだったが、継ぐに転じた人、
娘婿が継いだケース、兄弟で役割分担しているケース
など、多様で具体的な事例は、とても参考になります。

そして、もうひとつの面白さは、
『ファミリービジネス固有の経営手法を追求していこう』というスタンスです。

日本では中小企業が企業数の99.7%、労働人口の66%を占めています。

その中小企業の大多数が、同族内で事業継承を行っていることが分かっています。
(従業員数5人以下では9割、101人~300人でも5割以上)。

非上場企業の大多数は、経営者自身が借金の保証人になっているという
日本経済特有の仕組みもあり、とても重要な役割を担っているファミリービジネス。

そこには「世代間のマネジメント」や「継ぐべきか継がざるべきかの決定」など、
大企業とは違った経営手法が必要とされている。
だから、好き嫌いやイメージで語らず、もっと研究して
会社を伸ばしていこうよ、という考え方なのです。

「経営者がつくるファミリービジネスの教科書」を
目指した、という本書は、具体的な事例とロジカルな解説によって、
多くの気づきを得ることができます。

私自身のことをいうと・・・
経営者として自分の子供に継ぐという発想は、全くありませんでした!

しかしそれは多分に「子供に無理強いしたくないし、
社員にとっても既定路線をつくりたくない」という『先入観』が強かったと思います。

この本を読んで、会社を永続させていく、
というテーマについての選択肢が広がりました。

経営者はもちろん、ファミリービジネス企業で働いている社員にとっても、
学びが大きい一冊だと思います!

『星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント 1 継ぐべきか、継がざるべきか』
中沢康彦 著(日経トップリーダー編)

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