COLUMN

コラム「社長の給料まる見え日記」

2015/04/23

【vol.349】がんばらないのが、気分でしょ。

「このまえ、GUに買い物に行ったんですけど」
と、弊社スタッフの大山が話しかけてきました。

「レジで会計をすませたら、ショッパー(商品を入れる袋)に
『がんばらないのが、気分でしょ。』
と書いてあるんです。

それを見て、
『いやいや、がんばれよ!』
って、なんだか無性に腹が立っちゃったんですよ!!」

前職の生命保険会社で、バリバリの営業マネージャーをしていた彼女。
憤る気持ちはわかります(笑)

GUでは「ゆるキレ」=ゆるっと着れる。だけどキレイ。
というファッションスタイルを表現するために、上記のようなコピーを使っていたのですが・・

しかしこれはファッションだけの話ではなく、今の若い人達の気分を総称しているんじゃないか?
と私は思いました。

近年は、入社して初任給をもらっても、感動が薄い新人をよく見かけます。
支給日からしばらくたっても、口座に入ったまま手をつけていない、という人も。
つまり、お金に困ってないということなんですね。

私が学生だった頃は、旅行に行くのも、洋服を買うのも、今よりお金がかかりました。
パソコンも携帯も高級品。だから、社会人になってようやく買える!という喜びがありました。

当たり前ですが、今も、いいものは高い。

けれど、例えば洋服については、GUなどファストファッションで、安くてもオシャレが楽しめます。
LCCで旅行も行きやすいし、パソコンも数万円から買えます。
さらにスマホがあれば大抵のことは無料でできて、不自由しません。

無理をしなければお金をかけなくても十分生活できてしまう今、

『頑張って就職して、仕事をして、お金を稼ぐことの意味が、よく分からない・・・』
というのが若者のホンネなのではないでしょうか?

では、そうした思考回路の若手社員に、どのようにアプローチをしていけばよいのか?
これからのリーダーには、今まで以上に【コミュニケーション力】が問われると、私は思います。

若者と向かい合うときに大事な“コミュニケーション力”とはズバリ「傾聴力」です。

金銭欲がない=やる気がない、とは限りません。
何に興味があるのか?
どこに“やる気スイッチ”があるのか?
といったことは、一人ひとり違います。

自分の成功体験や価値観を押し付けずに、
「知りたい、学ばせて欲しい」
という気持ちで、素直に耳を傾ける。

若者のコミュニケーション力は極めて高く、こちらの気持ちを瞬時に察し、話す内容を合わせてきます。
もし、彼らに表面的な話をされたら、自分の傾聴姿勢を疑った方がいいでしょう。

もう一つは「伝達力」です。

今はお金が必要なかったとしても、年を重ねると状況は変わります。
しかし豊かな環境で育ってきた若者世代は、
「この状態がこのまま続くだろう」
と、将来像を描くのが苦手です。

今後の人生や社会の変化に備えて、
どんな実力を磨いておくべきなのか?
頑張らないことのリスクは?
更には「なぜ働くのか?」
といったことを、イメージできるように伝える必要があるのです。

私は、ハングリー精神がない若者を、素敵だと思います。
なぜって「金を稼ぎたい」「いい暮らしをしたい」って、自己中心的な動機ですよね。

20代は、金銭欲は薄くても、
「やりがいが感じられる仕事」「社会性が高い仕事」
には、燃える人が多いのです。

誰かの役に立ちたい、という社会人として理想的なスタンスを若くして持っている。
こんな人材がゴロゴロしているのは、世界中探しても日本だけではないでしょうか?!

彼らのやる気と潜在能力を引き出せたとき、企業には無限の可能性が開けると思うのです。

《まとめ》
「がんばらないのが気分」な若者を、斬って捨てるのか?
それとも、優秀な素材だと捉えるのか?
リーダーの “コミュニケーション力”と“価値観”が、ますます問われている。

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