出世に興味がないのは、ゆとり世代だから?
「最近、役職やマネジメントの仕事に興味がない若手が多くてさ…」
とボヤく上司。
良くある話です。
若手社員は、ゆとり世代だから、意欲が低いのでしょうか?
そうして、ひとくくりにしてしまうのは簡単ですが、
コトはそう単純ではないと思います。
出世に興味がない社員の原因と対策について、整理してみました。
出世に心が踊らない、4つの要因
1.縛られる感
役職者になると、会社への厚い忠誠を永く約束しなくてはならないイメージがあります。
仕事は好きだし会社も好き。だけど、5年後世の中がどう変化しているか分からない。
自分がやりたいことも変わっているかもしれない。
でも、役職者になるということは、ずっとこの会社にフルコミットし続ける覚悟をしなくてはいけない気がする。
社会の変化が速くなっているのに、なにか会社に縛り付けられてしまうような処遇は、避けたいという心境なのです。
2.役職という“ニンジン”が、魅力的じゃない
身の回りにモノが溢れ、経済的に豊かな日本で生まれ育ってきた若い人の価値観は、変化しています。
お金や役職に、頓着しない代わりに「人の役に立ちたい」とか「感謝される仕事がしたい」という“心の満足”を重視する人が増えているのです。
上の世代からすると「ハングリー精神が足りない」と言われるのですが、豊かな環境で育ってきているので、ハングリーでないのは当然です。
そもそも、お金やモノに対するハングリー精神は、その人の個人的な欲望です(身勝手ともいう)。他人にはなんの関係もありません。
それよりも「人の役に立ちたい」という若者の欲求(これを内発的動機といいます)の方が、レベルが高いと思いませんか?
若者の価値観は、進化していると私は思います。
そうした進化した若者にとって、お金や出世という“ニンジン”(こちらは外発的動機)は、美味しそうに見えないのです。
3.「人の上に立つ」が馴染まない
共感・協調を重んじる人が増えています。
そうした人は、上下関係に違和感を感じるし、人の上にたつということへの欲求が薄い。
また、上の立場の人のことも、よく観察しています。
4.無駄な上司、できない役職者にがっかりしている。
▲社内業務に追われていて、なんの価値も生み出してないように見える係長。
▲社内事情には長けているが、世の中の情報に疎く、仕事もできない課長。
▲リテラシーが低く古風なスタイルで仕事をする部長。
どこの会社にもいますよね。
いまは出世がステイタスでもない上に、ロールモデルにならない上司の存在を見るにつけ
「ああはなりたくない」
「逆の立場になった時に、万が一にも部下から蔑まれるのはイヤ」
とテンションが下がるのです。
5.「そこそこでいい」と見限っている。
出世するとさらに忙しくなりそうだけど、これ以上時間を仕事に割きたくない。
そこまでコミットする意義も感じていない。
大過なく過ごせれば良い、と割り切っている人には、のれんに腕押しです。
3つの対策
1.役割を変える。
上司の役割は
・上に立ち、指示命令すること。
・教育や評価をすること。
という定義が一般的かと思います。
そうではなく、例えば
・メンバーの意欲を引き出し、働きやすい環境を整える。
・会社とメンバーの接点をデザインする。
といった役割にアップデートするのです。
たとえば、昨年まで全国大会で9連覇を果たした帝京大学のラグビー部。
上級生が掃除やアイロンがけなどの雑用を引き受けているそうです。
その理由のひとつは、新入生はキャパが少ないので、練習も雑用も、と無理をさせないため。
もうひとつは、上級生が背中を見せることで『この先輩たちとやっていきたい』『こんな風に成長したい』と思わせるため、だそうです。
2.任期を設ける。働く自由度を与える。
永く会社や役職に固定化されるような印象を与えないために、任期を有限にしたり、副業もOKとしてはどうでしょうか?
たとえば株式会社ガイアックスの菅大輔さんは、事業部長でありながら、日本を手放し、“世界中を旅しながら働く”というスタイルを実践しています。
また同時に、自ら起業し、別の仕事も行なっています。
そういう人が上司でいて、事業も会社も順調に推移しているならば、「自分もそうなりたい!」と思う人が増えるかもしれません。
もちろん、全ての上司がそうなればいい、と言いたいわけではなく“選択肢をつくること”が重要だと思います。
3.役職を、なくす。
思い切って、役職をなくしてみるのはどうでしょうか?
具体的には、役職と役割を切り離すのです。
出世しようがしまいが、仕事にコミットする人はどこまでもします。
役職者にならなくても成長はできるし、重要な役割を担うことだってできる。
“役職”と“役割”が、紐づいていること。固定化していること。
それが根本的な原因だと思うのです。